刈り残しの草地

井の頭公園の三角広場とよばれる場所は、明るく開けた草地があり、草地を好む昆虫たちがよく見られる場所です。しかし、最近草がたびたび刈り取られ、昆虫たちが見られなくなってしまうことがありました。「もし、草地を刈り取らなかったら、これらの昆虫がずっと棲み続けられるのではないか。」と思い、試しに一部刈り残しのエリアを作ってもらうことになりました。

▲三角広場の刈り残しの草地(6月27日の様子)

6月下旬ごろの刈り残しエリアには、まだヒメジョオンの花がたくさん残っていて、イネ科のメヒシバは背丈が低い状態でした。

刈り残しの草地で見つかった昆虫たち

直翅目(バッタの仲間)

まず、イネ科の生える草地を好む直翅目を調べてみました。予想していたショウリョウバッタは、7月上旬ごろから幼虫が数匹目につくようになり、7月末には成虫も確認できました。

▲ショウリョウバッタの幼虫から成虫まで

そのほか、オンブバッタ(幼虫から成虫まで多数)、ヒシバッタ・ノミバッタ、たぶんクビキリギスの幼虫なども見つかった。

イネ科の植物メヒシバが伸びてくると、直翅目以外の昆虫もいろいろ目につくようになりました。これらも、幼虫から成虫までここで育つ様子が観察できました。

また、ヒメジョオンの花にもたくさんの昆虫がやってきました。

アブやハエの仲間もよく見られました。

秋が近づいてくると、イチモンジセセリがやってきて、イネ科植物に産卵もしました。

ヤマトシジミは、草の茂みの中で休憩したり、交尾したりしています。草原は、昆虫たちの隠れ家にもなっているようです。

▲交尾するヤマトシジミ

そして、昆虫たちを捕食する昆虫もやってきました。

サシガメ(昆虫などを捕食するカメムシ)もいました。

特にシオカラトンボはいつもこの草原を低く飛び回り、獲物を探しているようです。また、アジアイトトンボも、草原の小さな小さな生き物をつんつんと捕らえていました。そして、東京都のレッドデータに記載されているミヤマアカネもやってきて、この草原に10日間もど滞在しました。成熟するまでここでエサ取りをしていたようです。

▲ミヤマアカネ

このように刈り残された草原には、実に多様な昆虫たちが生息していることがわかります。

これらの昆虫たちはもちろんここだけでなく、周りの草原にも見られるものが多いのですが、周りでは成長の途中で突然草刈りが行われ、成長が中断されてしまいます。産み付けられた卵や成長途中の幼虫が生きられなくなるのです。

生物多様性を保全するために、ぜひ、このような刈り残しエリアをこれからも作り、広げていってほしいです。

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