先日の記事『ヤマガラの分業制』をアップした後、複数の知人に、ヤマガラの餌渡し行動に関する知見や文献の有無を聞いてみました。
『砧公園で同じ行動と思われる場面を見た』という井の頭自然の会のメンバーからの報告が1例あり、また『2020年のラインセンサス調査のときにも見た』と同じく当会メンバーの報告もありました。また、ネットを介して知り合った方からは『富士山麓で、すでに雛は巣立っていたが、成鳥雄から成鳥雌への餌渡しを見た』という報告がありました。
そして、恩師の安西英明先生から、日本野鳥の会の会長である上田恵介先生(立教大学名誉教授)や、日本鳥学会の会長も歴任された樋口広芳先生(東京大学名誉教授)に「ヤマガラの餌渡し行動」について問い合わせていただき、両先生から貴重なアドバイスをいただくとともに「今後の調査の発展に期待します」というメッセージをいただきました。
その後、ネットでこの行動に関連する論文をいくつか発見しました。
ヤマガラの巣箱設置による繁殖個体数増加と高密度下における繁殖生態 (荒木田 善隆 1995)
上記論文では、抱雛期(孵化後の雛にまだ羽毛が揃わず、親が温めなければならない期間)に、巣の中でも雄から雌に餌が渡されるパターンがあり、その場合も雌が翼を震わせる求愛給餌同様の仕草があるとのこと。
そして、育雛期間の雌雄の給餌回数が1988年のつがいが「雌152回,雄124回」、1989年のつがいが 「雌207回,雄91回」と雌に偏りがあることが報告されています。
カラ類3種の育雛行動における雌雄間の比較
近藤 崇, 早瀬晴菜, 肘井直樹 (名古屋大・生命農・森林保護 2016)
この発表にはシジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラの給餌回数に関する報告があり『シジュウカラとヒガラでは雄が約50–70%,逆にヤマガラでは雌が約50–80%』と報告されています。
これらの報告にあるように、ヤマガラの給餌回数が雌に偏っているのは「餌渡し行動」があるからにほかならないだろうと想像しています。
しかし、餌渡しの多い事例と少ない事例があるようです。それはぺアの個性によるものなのか?あるいは巣と餌場の距離関係などによって頻度が左右されるのか?そのあたりを調べていきたいと考えているところです。

樋口先生から教えていただいたのですが、ヤマガラは雌から雄に求愛給餌することもあるそうです。そして巣立ち後に雛が2つのグループに分かれて、成鳥雄と雌がそれぞれ分担育雛することもあるそうです。
上記の写真を撮ったとき、成鳥1と幼鳥2だけしか見られなかったので、もしかするとグループに別れているところだったのかもしれません。
行動を観察するのは楽しいですが、この時期になると幼鳥たちも木の高いところまで行くので、首が痛くなります・・(笑)。
suzuki






