昨年(2021年)の10月のこと。井の頭公園内のセイタカアワダチソウに吸蜜に来たウラナミシジミを撮っていたとき、撮った写真をよく見ると、ウラナミシジミとは違っていました。しかし前に見たことがあるチョウのような気もします。そこで思いついたある名前をスマホでチェックしてみました。(便利な時代になったものです。)やはり、そのチョウは予想どおり「クロマダラソテツシジミ」でした。


私が持っている図鑑「蝶」(新装版山渓フィールドブックス)2006年初版発行には、クロマダラソテツシジミは掲載されていません。もう1冊最近購入した「フィールドガイド日本の蝶」(日本チョウ類保全協会編、誠文堂新光社刊)2012年発行には、「かつては国内に生息せず、1992年に沖縄島で初記録。近年は南西諸島や九州南部で定着。強い分散力と植栽による移動で、関東まで発生することもある。」と書かれています。つまり、クロマダラソテツシジミは、外来種として一旦沖縄入って定着し、それから暫時北上してきたチョウのようです。
このチョウの幼虫の食草は名前の通りソテツです。私も実は沖縄に行ったとき見たことがあるし、2016年には東京都の港湾部で観察したことがありますが、そこにはソテツがたくさん植えられていました。
ウィキペディアによれば、ソテツは
「日本列島に自生する唯一の種で、自然分布では日本列島の固有種である。日本列島の九州南端、南西諸島、台湾、中国大陸南部に分布する。主として海岸近くの岩場に生育する。なお、自生北限は宮崎県串間市都井岬である。本州には自生しないが、ある程度の寒さに耐え、異国情緒を醸す庭園樹になることから、寺社、庭園、市役所前のロータリーなど、各地で植えられている。」
とあります。
私が東京都でクロマダラソテツシジミ(成虫・幼虫)を、見たのはまさにそうした場所だったようです。

実は、この年2021年には新宿御苑にクロマダラソテツシジミが現れ、御苑のソテツに被害を与えているという話を聞いたばかりでした。内陸にも進出しているようです。
そこで、クロマダラソテツシジミが見られた井の頭公園近辺の植栽を調べてみると、とある一軒のお庭にソテツが植えられていました。
井の頭公園ではたぶん初記録だったのではないかと思いますが、今後定着するかどうかはわかりません。冬越しができるか、食草のソテツが十分あるかが鍵になりそうです。
ソテツが植えられているところは要注意です。
私が井の頭公園でチョウを観察し始めてからたかだか20年未満ですが、その間にも、クロマダラソテツシジミのように、以前にはいなかった南方系のチョウが次々と現れるのを目の当たりにしてきました。その記録を残しておきたいと思います。
つづく
文責:Takaku






